不動産売買の途中で、トラブルが生じることは珍しくありません。特に、売買契約後に売主が死亡した場合には特別な手続きが必要になることもあります。まずは、この流れを知ってきちんと対処できるように準備をしていきましょう。
相続があっても売買契約はただしに無効にならない
不動産の売買契約が成立した後に、所有者が亡くなった場合でもその契約は無効にはなりません。ただ、通常の売買取引と異なって複雑な流れになってしまうことも多いです。締結済みの売買契約はそのままの通り履行しなくてはいけないのですが、この手続きを行うのはあくまでも相続の権利者になります。
これは、相続権を有している人にとっても大きな問題です。不動産の継承は、あくまでも包括的な継承になりますので手続き上で何もしていなくてもその権利はきちんと継承されます。
実際に、債権などの単純な権利関係であっても相続権者に継承されますのでこういった契約時に関連する取り決めについても何もしないと相続権者が手続きをしなくてはいけなくなります。
ですから、亡くなった売主の代わりにその人物が契約を履行するように話を進めなくてはいけません。具体的には、売主から新しい買主への所有権移転登記の義務が生まれます。
決済が中止されるケースと所有権移転登記の複雑さ
売主が不動産の売買契約を締結した後に亡くなった場合は、早急に専門家に相談するのが得策です。これは、決済が中止されるケースや所有権移転に関連する複雑な問題が存在するからに他なりません。
例えば、売主が死亡した後に買主側が取引をやめたい旨の主張をしてくることも十分に考えられます。実際に、こういった取りやめは解約手付などを準備して契約上で問題のない行動をとれば実現できます。決済が中止されても、その流れが正しいものであるのならば法律上でも問題になりません。
また、所有権移転登記の場合は名義変更でトラブルに発展することも多いです。相続があった場合には、形としては既にその所有権は相続権利者に帰属する可能性もあるため名義変更を行うときに複雑化しやすいです。
しかも、相続権利者は1人とは限らないので不動産が共有所有になった場合にはさらに面倒な手続きが必要なので、やはり早期に専門家に相談をした方が無難です。
相続で生じる将来的な問題への対策を考えよう
売主が亡くなったケースでは将来的な問題点を把握してなるべく早く取引や決済、そして手続きの準備を進めておくことです。買主側の利益を損なわないように、確実な契約の履行ができるようにしましょう。