【不動産相続】相続したマンションの売却益にかかる税金と節税方法を解説

相続では、現金や預貯金だけではなく土地やマンションといった不動産を受け継ぐこともあります。相続したマンションを売却で手放す人もいますが、売却益を得た場合は税金も発生します。ここからは、売却で得る税金の種類や節税方法について書いていきます。軽減税率の特例や3000万円特別控除について知りたい人も参考にしてください。

どのような税金が発生するのかを調べよう

相続したマンションはそのまま保持することもできますが、売却で現金を得れば遺産分割もよりスムーズになりますし、相続税の納税資金に役立てることもできます。とはいえ、売却益はすべて自由に使えるわけではありません。売却益を得た場合は税金も発生しますので、税金の種類も知っておきましょう。

売却益を得て発生する税金の種類では印紙税や住民税、譲渡所得税や登録免許税などがあげられます。売却するときは、売買契約書に収入印紙を張り付けて印紙税を支払うことになりますし、利益が出たときは譲渡所得税や住民税が発生します。

相続したマンションを売却する際には、金融機関が持っている抵当権を外してもらうことになりますが、抵当権抹消登記をするには登録免許税と呼ばれる税金がかかります。すでにローンを完済しており、抵当権がない物件の場合であれば、登録免許税はかかりません。登録免許税は不動産の数×1000円という金額です。

軽減税率の特例などを活用して税金の負担を減らそう

税金の負担は思いのほか大きくなることもあります。支払う税金は少しでも少なくしたいところですが、売却する際に受けられる軽減税率の特例を活用すれば、税金の負担は減ります。軽減税率の特例があっても、特に税務署から連絡があるわけではなく、自分で調べることになります。

利用できる特例は、相続財産を譲渡した場合取得費の特例、マイホームを譲渡した場合の3000万円特別控除、マイホームを売却したときの軽減税率の特例です。3000万円特別控除については、所有期間の長短に関係なく利用できますが、売主となる相続人が売却するマンションに住んでいることが条件です。

3000万円特別控除適用要件では、売主と買主が親子や夫婦など特別な関係でないこともあげられます。そして、確定申告をしなければ、この特例も活用することはできません。売却益が3000万円を超える場合もありますが、この場合もマイホームを売ったときの軽減税率の特例を利用することができます。

売却による税金と負担を減らすには

相続したマンションを売却したときには、様々な税金も発生します。売却前にはどのような税金が発生するのか、いくらぐらい支払うのかを把握しておきましょう。節税をするなら、3000万円特別控除や軽減税率の特例も上手に活用したいものです。

【不動産相続】相続したマンションの売り方|売却の流れや必要書類・費用を解説

親などから相続したマンションに住まないという選択をする場合、売却するのが一般的です。貸し出すという選択肢もありますが、売却すれば現金化できるだけでなく、維持管理に要する手間や費用がかからないというメリットがあります。

一方で、どのような手順で売却すべきか分からないという方も少なくないでしょう。そのような方に向けて、ここでは相続したマンションを売却する際の流れや必要書類、費用について解説していきます。

相続したマンションを売却する手順

親などから相続したマンションを売却する流れとしては、まず不動産会社に査定を出す前に住宅ローンの残高や大まかな相場を調べておきましょう。

また、修繕積立金の増額や一時金の徴収が予定されている場合、その旨を買主に説明する必要があるので、この点についても管理組合に確認しておくことが大切です。次に、マンション売却に必要な書類を準備するとともに、名義変更や荷物の撤去を行いましょう。

事前準備が済んだら、不動産会社に査定を依頼するとともに、仲介か売却のどちらの売却方法を選択するのかを決定しますが、買取は仲介と比べて売却価格が安くなるので特別な理由がなければ仲介を選択するのが一般的です。仲介で売却する場合は、その後不動産会社と媒介契約を締結します。

媒介契約締結後、不動産会社へ希望の売却価格を伝えると不動産会社による売却活動が開始されるので、内見の準備を行います。不動産会社による売却活動と内見の結果、買い手が見つかったら売買契約を締結し、売却代金の決済・マンションの引き渡し・売却後の登記を行って売却完了です。

相続したマンションを売却する際の必要書類と費用

マンションを売却する際の必要書類としては、登記済権利証または登記識別情報、固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書、相続人の実印・印鑑証明書・住民票の写し・本人確認書類、マンションの管理規約・使用規則などが挙げられます。

ローン返済中の場合はローン残高証明書も必要ですが、場合によってはその他の書類が必要になるケースもあるので、早めに不動産会社に確認しておきましょう。

また、マンション売却時には、仲介手数料や印紙税、登録免許税(ローンが残っている場合)といった費用がかかります。仲介手数料とは、不動産会社に仲介を依頼する際に発生する費用で、マンション売却で発生する費用の中で最も高額になります。

仲介手数料の額には上限が定められており、売却価格が400万円を超える場合は「(売却価格×3%)+6万円+消費税」で算出可能です。印紙代は売買契約書に対してかかる税金で、契約金額によって金額が異なりますが、現在作成される契約書は軽減措置の対象となっています。

登録免許税は、住宅ローンが残っている物件の抵当権を抹消するためにかかる税金で、不動産1件あたり1,000円かかります。ただし、抵当権の抹消手続きは司法書士に依頼するのが一般的なので、司法書士に支払う報酬(1万円前後)も必要です。

【相続したマンションの売り方】まとめ

今回は、相続したマンションの売却手順が分からない方に向けて、売却の大まかな流れや必要書類、費用について解説しました。相続したマンションは、住宅ローンの残高や修繕積立金など把握しきれていない部分も多いものなので、不動産会社へ査定を依頼する前にしっかりと調査をしておくことが大切です。

【不動産相続】相続した空き家になっている実家を売却したときの税金と節税方法

空き家対策措置法が2015年に完全実施され、空き家を放置しておくと住宅用地特例から除外され、固定資産税が最大6倍になります。しかし空き家を売却させるための優遇税制も設けられ、簡単に手放せるように整備されています。

実家が空き家になり、相続できないので売却をする場合には譲渡所得税という税金がかかりますが、放置したままにするより正しい知識を得ることで、大きな節税対策をすることができます。

譲渡税の計算方法とは、どのように行うのか

空き家を売却する時にかかる税金は「印紙税」と「譲渡所得税」です。「譲渡所得税」は「所得税」と「住民税」「復興特別」の総称で、売却益が出なかった場合には非課税になります。また金額は売却金額、取得金額、譲渡費用で計算をして出します。

例えば1980年に建てた実家を相続したが、維持できないと判断して建物を解体して更地にして売却して500万円得たとします。取得費不明なので、譲渡価格の5%相当額として、譲渡費用は200万円かかったとします。譲渡所得税の税率は、売却した家の所有期間が売却した年の1月1日時点で5年以下なのか、または5年以上なのかで変わります。

譲渡税の計算方法は譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用-特別控除となるので、譲渡税の計算方法で計算すると55万円になります。それでも3000万円控除の適用要件を住居が満たしていれば譲渡所得はゼロとなり、納税の必要はなくなります。

3000万円控除の適用要件とはどのような内容なのか

3000万円控除の適用要件は、相続または贈与された住居用家屋が対象になります。条件としてその建物が1981年5月31日以降に立てられた家で区分所有建築物でないこと、また相続開始前で被相続人のために準備され、被相続人の他に住んでいる者がいなかった場合に適用することが可能です。

そのため分譲マンションは対象から外れます。旧耐震基準で建てられた建物であり、被相続人が一人で暮らしていたということが対象になります。

この条件に当てはまる家屋と敷地を売却金が1億円以下であることや、家屋が他の特例を受けていないこと、被相続人が死亡して空き家になり、譲渡するまでの長い期間、空き家であることが条件になります。

加えて建物が耐震基準を満たしているか、また満たしてない場合には修繕して売却するか、あるいは家屋を解体して更地にして売却する場合に適用されます。家屋の譲渡には、現行の耐震基準に適合しているかどうか証明することが必要です。

税金節約対策として、特別控除の特例を適用できる

分譲マンションには適用不可ですが、3000万円控除の適用要件の内容に適していれば、最高3,000万円の控除を受けることができます。この特例の適用は相続を受けて3年以内に売却する場合に限られるので、相続した場合には、早期の検討が必要になります。

【不動産相続】相続した空き家を売却するなら!非同居の場合は手続きは煩雑?解体した場合にかかる費用も検証してみた

少子高齢化が進む日本において、空き家は各地に広がる問題となりつつあります。親から相続した空き家の処分に迷っているなら、できるだけ早めの売却がおすすめです。空き家の売却は、同居の場合と非同居の場合で売却時の税金などが変わります。

非同居の子供が親から家を相続した場合

空き家に住んでいた親が亡くなった場合、一般的には子供が物件を相続することになるでしょう。亡くなった親とその物件で同居していた、あるいは子供が相続した上で住まいとして居住するなどの要件を満たせば、相続税がかからないなどの優遇が用意されています。

しかし、親元を離れて都市部に生活基盤を築いている例も多いため、相続物件での同居などの要件を満たすのは難しいのが現状です。遠隔地で家族と一緒に暮らしている方は、実家に戻れば家族も仕事や学校などの基盤を失ってしまいます。

もしも親と同居していれば土地の評価額は8割減で計算され、相続税を払わずに相続できる可能性が高くなるでしょう。一方で非同居の場合の場合、評価額の8割減などの優遇はありません。

不動産物件の評価額から基礎控除を引いて計算し、残りの金額に相続税がかかります。非同居の場合は同居と比べて税金などの支払いが必要になるため、注意が必要です。

空き家の解体と売却には特別措置も利用できる

親と非同居だと売却時の税金が大きくなることは判りました。それでは使用する予定のない空き家を解体した場合、どのような費用がかかるのでしょうか。

建物を解体した場合、まずは解体費用がかかります。解体費用にはある程度まとまった金額が資金として必要です。さらに空き家を解体した場合、建物がなくなったことで固定資産税が増えてしまいます。建物がある時よりも6倍近くも増えるため、解体はせずにそのまま放置もやむを得ないという例も多々あります。

相続後の空き家は売却することで、取得費や譲渡費用、仲介手数料をはじめとした諸経費を引いた金額を譲渡益として受け取ることができるでしょう。また、空き家の解体売却に対する特別措置を利用すれば3000万円の特別控除も受けられます。

なお、自治体によっては空き家に対する解体費用を補助していることもあります。自治体に確認して、補助や特例措置などを有効活用しましょう。

空き家の税金や手続きについて理解しよう

非同居の場合の税金、売却時の税金など、空き家について知っておかなければいけないことはたくさんあります。放置で近隣に迷惑をかけないためにも、できるだけ早い段階で売却や解体といった方法を探ることが望ましいでしょう。

【不動産相続】マンションの相続登記は自分でできる?費用と必要書類を一覧で掲載

マンションの相続登記は自分でも行うことは可能ですが、不動産を相続するうえで最も複雑で重要な項目であるため、専門家に任せるのが確実とされています。必要書類や費用はかかりますが、確実に相続登記を完了させたい場合は専門家に依頼しましょう。

マンションの相続登記とはなにか

相続登記とは、不動産を所有していた人が亡くなり相続によって所有者が変わる場合に行う名義変更のことを指します。相続登記自体は行わなかったとしても不利益が生じるわけではなく、またこれといった罰則も発生しないため早急に行わない人も多いでしょう。

しかし相続登記をしていないと法律上所有者が被相続人のままであったり、遺産相続協議で自分のものとなっても法律上は自分の資産ではないことになるという制約が生じます。また、将来他の相続人と遺産を巡ってトラブルになる可能性もあり、法的に登記を済ませていればそのようなリスクを回避することができます。

一方でマンションの相続登記の方法は、自分で行おうとすると非常に手続きが難解かつ時間がかかるため、専門家に任せるのが最も効率的かつ確実とされています。専門家に任せると自分で登記手続きをするより費用がかかるということはありますが、確実な方法を選択するのが良いでしょう。

相続登記における必要書類と費用

もし自分でマンションの相続登記を行おうとすると、必要書類を全て揃える必要がでてきます。まず被相続人の戸籍謄本と戸籍の除票、被相続人の住民票の除票と相続人全員の戸籍謄本です。

他に遺産分割協議書、実際に財産をもらう人の住民票。最新年度の不動産の固定資産税評価証明書に加えて不動産登記を行う物件の登記簿謄本をそろえる必要があります。用意するにあたってそれぞれ費用もかかり、たとえば被相続人の戸籍謄本は1通450円といった具合です。

謄本や証明書をもらう場所も異なっており、本籍地の地区町村の役所であったり、マンションを管轄している法務局または役所に行く必要があります。

それに加えて、被相続人の戸籍謄本は、被相続人が亡くなった日付以降のものでなくては効果を発揮しないため注意しておきましょう。これらの書類を、それぞれの条件に見合ったかたちで全て揃えることになるため、慎重に進めていくのが大切です。

相続登記とは自分でできるが難しい

このようにマンションの相続登記を自分で行うには、異なる場所での必要書類とそれぞれ費用がかかります。証明書が認証される条件もあるため、ひとつひとつチェックして慎重に進めていきましょう。

【不動産相続】相続した土地を売却には相続登記が必要?売却の手順と費用も合わせて解説

相続した土地や建物を売却したい場合には、様々な手続きをしなくてはいけません。ただ、不動産に関連する手続きの流れは複雑でわかりづらいポイントも多いです。まずは、売却の手順を理解してより高額にできるようにしていきましょう。

相続不動産の登記は必ず行っておく

相続不動産は、権利を有している人が継承できるものです。相続する財産の対象として土地や建物が含まれていますので、文字通り財産的な利益として権利者にもたらされるものだからです。しかし、ここには重要な問題も存在します。それは、相続不動産の名義変更の登記が義務化されていないという点です。

これは相続登記と呼ばれているものですが、本来は行わなくてはいけないこの手続きを法律上では義務化されていないため権利関係を客観的に証明できなくなるリスクが存在します。実際に、相続をしたからといって何の手続きもせずに放置していると、相続不動産の売却取引そのものができなくなります。

ですから、売却の手順の中でも何よりまずは相続登記を行うことを心がけることです。相続登記は、早いタイミングで行うことができるものですし費用も非常に小さいです。手間はかかりますが、将来的な利益のためにも土地や建物の名義変更は速やかに行うことです。

相続登記から売却までに必要になる費用

相続登記から相続不動産の売却までに必要な費用は、主に4つを考える必要があります。まず、相続登記そのものの費用です。これは、登録免許税という税金を納めることで事足ります。不動産価格から算出されるものですが、その規模はわずか1000分の4なので大きな費用にはなりません。

そして、不動産の仲介業者への費用もあります。不動産売却は仲介業者の媒介契約を通して行うのが普通なので、この部分の費用も計算に入れておくことです。実際の不動産売却にかかる費用については、印紙税があります。不動産の売買契約書等に必要になるもので、これに関しても大きな金額は必要になりません。

大きくても、数万円程度です。最後に、不動産を売却した時にかかる税金そのものが挙げられます。現金化した場合には、そこに利益が生まれますのでその部分に対する税金がかかります。売却の手順ではこれらの費用を計算に入れて正しい手続きが必要です。

売却の手順から必要になる手続きと費用を想定すること

相続不動産の売却時には、必要になる手続きや費用が確かに複雑です。しかし、法律的にも決められたものが大半であるため一度理解すればわかりやすいものです。忘れないように計算をして、確実に利益が出るようにしましょう。

【不動産相続】住んでいない実家を売却するのは親の生前か?相続後か?税金を比較して検討してみた

親も高齢になると老人ホームなどに入居するようになり、実家が空き家になってしまうことも少なくありません。不動産を売却するとき、親が生きている内に行うのが良いのかそれとも相続したときが良いのか迷う人も多いといえましょう。

住んでいない家をそのまま放置していると、家自体も経年劣化が進むなど早めに解決に導きたいと考える人も多いといえます。ここでは、税金面で比較を行い生前に売却したときの節税と死後に売却した時の節税、この2つを比較して不動産を売却するタイミングが生前が良いのかそれとも相続後が良いのか解説していきましょう。

住んでいない不動産を放置してても税金を納める義務

住んでいない不動産、これは毎年固定資産税などの税金や維持管理などの費用が掛かるわけですから放置しているとかなり無駄に感じてしまう人は多いといえます。さらに、誰も住んでいない家は空気の流れなどがないので住居の傷み具合も加速化することもあるなど注意が必要です。

不動産を売却する方法としては生前に行うやり方が早期に行える方法になるわけですが、生前に売却したときの節税には3000万円の特別控除の特例を利用することができます。

また、その不動産が10年を超えているものであれば軽減税率の特例も併用することができますし、親が老人ホームではなく他の場所に住み替えるなどの場合は特定のマイホームの買い替えの特例なども利用することが可能になって来ます。

一般的には、生前に売却したときの節税というと3000万円の特別控除と軽減税率、この2つの特例の併用が考えられるのですが軽減税率の特例は売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えているなどの要件が有るので注意が必要です。

死後に売却した時の節税は相続での節税

死後に売却した時の節税は、いわゆる相続してから不動産を売却するときの節税方法になりますが、相続すると相続税が課税されることになります。ただ、相続税も譲渡所得税の3000万円特別控除の特例を利用することができるので生前に売却するときとあまり変わりがない、このようなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

死後に売却となったときにはその不動産は空き家になるわけですが、空き家になってからでも利用可能な空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例が適用されれば相続後に売却しても節税効果を期待することができるわけです。取得費加算の特例も相続後に使えるもので、相続から3年10か月以内に利用することが可能です。

なお、取得費加算の特例は不動産だけでなく相続で取得した株式など様々な財産を売却した際に、これらを相続したときにかかった税金を売却に要した財産の取得費に加算することができるメリットを持ちます。

生前および相続は条件により変わるタイミングの見極め

実家の売却における税金は、生前が良いのかそれとも相続が良いのか解説してきましたが、売却に適したタイミングは子供が持ち家に住んでいるのか、築年数がどのくらい経過しているのかで変わります。

相続した後の売却は空き家での特例が利用できるのは3年10か月以内、取得費加算の特例においては相続税の申告期限から3年以内になっているので早めに決断することが大切です。

【不動産相続】相続した空き家を売却する2つの方法|古家付きか更地にするか?各々の注意点を徹底解説

相続などで不動産を取得したが、既に住居があるために使用しない場合や、遠方のため利用しないということもあると思います。こういった場合、住居は空き家になってしまいます。

しかし空き家がそのまま残っていると、売却価格が下がってしまうことがあります。そこで以下、相続した空き家を売却する2つの方法について言及していきます。

空き家で売却するメリットとデメリットとは

相続不動産の処分で空き家で売却することのメリットとしては、解体費用が発生しないという点があります。解体費用は、一般的な木造二階建て住宅であっても、100万円を超え、延床面積や堅固建物によってはさらに費用が増えます。

売却価格次第では、解体費用によってマイナスの収支になる可能性もあります。また、解体工事が必要なくなるので、時間的にも節約になります。

一方でデメリットとしては、耐震工事やリフォーム工事が必要となる可能性や一般的に空き家で売却する方が更地にして売却するよりも査定価格が安くなるという点が挙げられます。

特に昭和56年以前に建てられた旧耐震基準の建物は、嫌がられる傾向があります。したがって、建築時期が古いものが多い相続物件については、旧耐震基準であるか確認が必要です。反対に、新築して間もない建物であれば、リフォーム工事も不要でそのまま売却できる可能性が高いです。

更地にして売却するメリットとデメリットとは

更地にして売却することのメリットは、家屋つきの場合よりも査定価格が高くなる点が挙げられます。また、万が一売却できなかった場合でも更地なら有効活用しやすいという点もあります。通常は、建物が土地の上にあることで査定価格は下がってしまいます。

したがって、解体費用をかけて建物を解体しても、その分を取り返せるくらいの高い価格で売れる場合が多いです。売れなかったとしても、更地なら貸し駐車場や賃貸マンションなどで土地の活用ができます。

一方でデメリットは、固定資産税が増える可能性と解体費用が高額になるリスクがあるという点があります。土地上に家があると固定資産税の軽減措置がありますが、更地にするとその措置がなくなるのが注意点と言えます。

特に注意点として挙げられるのは、年末に更地化を完了した場合です。更地の状態で年を越すと、固定資産税の評価が変わり、翌年の負担が増えてしまうのです。

空き家で売却と更地にして売却のどちらがいいのか

以上のように、空き家で売却する方法と更地にして売却する方法にはどちらもメリットとデメリットがあります。双方の売却時の注意点を考え、どちらの方法で売却するのがベストなのか、じっくりと考えるのがよいと言えます。そのためにも、まずは不動産業者に見積もりを取ることが大事です。

【不動産相続】相続した不動産売却の流れや手順を解説|サポートの依頼先は?

相続した不動産を手元におかずに売却したいと考える人は多いです。ただ、どういった流れと手続きで進めればよいのかがわからない人も少なくありません。ここでは、流れと手続きの注意点を把握しながら最善の対処ができるように紹介をしていきます。

相続した不動産の状況で流れと手続きは異なる

一般的に、相続を行うときには誰がその権利を有しているのかを把握しなくてはいけません。これは、遺産に対する権利が1人とは限らないからです。

不動産の相続を行う際には、まず相続登記というものが必要です。法律的に誰が当該不動産を所有しているのかを確認するために必要なもので、実際に相続登記を行わないと名義変更を行うことができなくなるので不動産売却の取引もできなくなるのが注意点です。

ですから、まずは名義変更を行って不動産売却ができるように準備をしておかなくてはいけません。そして、その後に不動産売却をした現金を権利者で分割をする作業に入ります。元々、相続権者は法律で決められていますので不動産の権利者が複数いる場合にはその人たちと現金を分け合わなくてはいけません。

遺産の分け方に関しては、相続登記を行う前に遺産分割協議で決めておくことが一般的ですので、ここも注意点として覚えておきましょう。

税金の把握とサポートの依頼先の確保

相続不動産は、税金の対象となっているので必ずその計算をしなくてはいけません。税金の対象とはいっても、相続の仕方や制度を利用すれば控除や免税を受けられる可能性もありますのでまずはそれが可能かどうかを調べる必要があります。

実際に、不動産で生じる税金は相続税以外にも住民税や譲渡所得税など様々なものがあるのできちんと把握して計算できるようにしておくことです。そして、こういった不動産売却時の問題を自分たちで解決できないときにはサポートの依頼をするのも大切です。

特に、相続不動産を売却したい場合にはそれを専門としている会社があるのでそこに相談するのが得策です。相続不動産は、名義の変更から税金問題、そして現金を現実的に分割するところまで幅広く考えなくてはいけません。

相続不動産では、瑕疵担保責任の問題もありますので将来的なトラブルに巻き込まれないようにするためにも充実したサポートは不可欠です。

権利関係を把握してスムーズな取引を進めよう

相続不動産は、様々な人が利益や損失を被る可能性があるものです。実際に取引を進めていくときには、何よりも権利関係やその手続きの準備をしてから現金化するように心掛けましょう。

【不動産相続】相続不動産を任意売却の流れと必要書類を解説

不動産を相続することになったけど、ローンの残価が多くて払うことが不可能な場合、とても困ってしまいます。そのような場合は、できるだけ負担を減らすことが重要なので、任意売却という手段を検討してはいかがでしょう。

相続した不動産の任意売却とは?

任意売却とは、抵当権の担保権がついているような不動産や仮登記や差押えなどが入っているような不動産など、債務が絡んでいるような状態で売却することを言います。特に相続では望まない状態で突然権利を得ることがあります。

不動産もそうですがそのローンについても相続対象です。ローンが残っていると誰も受けたがらないことがほとんどで、このような場合、売却を検討することになります。

任意売却をする場合は、債権者が存在するため所有者が勝手に話を進めることができません。それぞれが納得することが重要で、そのための時間がかなりかかることになります。

相続は10ヶ月以内に処理しなければいけないため、早めに決断する必要があります。売却が済んでいる必要はありませんが、受け継ぐ人や受け継がないなどの意思を決めなければいけません。どうするかさえ決まってさえしまえば、あとは流れに従って処理するだけです。

任意売却で準備するものと基本的な流れ

任意売却する場合は、個人で処理することは難しいので専門の業者にお願いすることになります。その際に準備するものとしては、まず依頼者本人の書類として運転免許証やパスポート等の本人が確認できる身分証明書のコピー、印鑑証明書が必要です。

そして不動産自体の情報などに関係して、登記済権利証のコピーなど登記識別情報がわかるもの、物件を購入したときの不動産売買契約書や重要事項説明書、建築確認申請書写しとか間取図、購入時のパンフレットなど物件が確認できるものも用意しなければいけません。

そのほか物件の写真で現状がわかるようにします。街並みから外観、エントランスやベランダ、各部屋の写真があるといいでしょう。特に水回りは劣化が激しいので事前に確認しておきたいところです。またマンションの場合は、管理規約書、管理費と修繕積立金の明細も必要です。

資産に関する書類で準備するものは、固定資産評価証明書と固定資産税納付書のコピーを用意しましょう。組んでいる住宅ローンに関する書類では、借入時の債権者との金銭消費貸借契約書や保証委託契約書です。競売などになっている時には、競売開始決定通知書や督促状も必要となります。

流れとしては、不動産の価値を確認してから媒介契約をして、債権者との話し合いから同意を得るまで交渉して、売買契約となります。大体3ヶ月から5ヶ月はかかります。

不動産相続における任意売却とは?

不動産相続は計画的に実施されるものではなく、突然発生するものです。そのため負債を抱えるぐらいなら任意売却を選ぶということは自然な流れと言えます。できるだけ負担をかけないようにすることが重要です。